So-net無料ブログ作成

あけがたにくる人よ(永瀬清子) [詩人・読書]



あけがたにくる人よ
永瀬清子

あけがたにくる人よ
ててっぽう(※)の声のする方から
私の所へしずかにしずかにくる人よ
一生の山坂は蒼(あお)くたとえようもなくきびしく
私はいま老いてしまって
ほかの年よりと同じに
若かった日のことを千万遍恋うている

その時私は家出しようとして
小さなバスケットひとつをさげて
足は宙にふるえていた
どこへいくとも自分でわからず
恋している自分の心だけがたよりで
若さ、それは苦しさだった

その時あなたが来てくれればよかったのに
その時あなたは来てくれなかった
どんなに待っているか
道べりの柳の木に云えばよかったのか
吹く風の小さな渦に頼めばよかったのか

あなたの耳はあまりに遠く
茜色の向うで汽車が汽笛をあげるように
通りすぎていってしまった

もう過ぎてしまった
いま来てもつぐなえぬ
一生は過ぎてしまったのに

あけがたにくる人よ
ててっぽうの声のする方から
私の方へしずかにしずかに来る人よ
足音もなくて何しに来る人よ
涙流させにだけ来る人よ
___________________
(※)

ててっぽう=キジバト、鳴き声を擬音化した方言。鳴き声はこちら(mp3)
長い尾っぽと羽根がドバトと比べて鮮やかなのが特徴です。
街で見るハト(ドバト)に似ていますが実際見ると気品を感じる美しい鳥です。
___________________
<LINK・TB>

 ⇒永瀬清子の世界
   旧岡山県熊山町(現赤磐市)サイト内の永瀬清子さんの紹介ページ
   生前のご本人の朗読も聴く事が出来ます。
 ⇒沢田知可子オフィシャルサイト
   永瀬清子さんの歌と朗読で綴った「美しい国」というアルバムをリリースされています。
 ⇒蟲日記
   倉敷美観地区にも近い鶴形山のふもとの蟲文庫という古書屋の店主さん。
   素敵なお店です。
   倉敷にいらっしゃる機会があれば是非お立ち寄り下さいませ。
   2005/07/08「苔観察日常」にて永瀬清子さんの「苔について」という
   詩を紹介されております。
 ⇒気楽に山歩き
   yamaaruki1212さんのブログ。
   以前山尾三省さんについて書いた際田口ランディさんのメールマガジンバックナンバー
   へリンクしたのですが、私も『ひかりのあめふるしま屋久島』は読んでみたくなりました。
   もちろん屋久島から帰ってからです。
 ⇒ハートですね
   2005/07/03「打算なき優しさを」にて永瀬清子作さん詩、信長貴富さん作曲の
   「天空歌」という曲を紹介されています。
 ⇒地下水脈。
   deracine600302さんのブログ。
   永瀬清子さんの「右手」という作品を紹介されています。
 ⇒小鳥ピヨピヨ(a cheeping little bird)
   永瀬清子さんの短いエッセイ2編を所感とともに紹介されています。
 ⇒国立天文台
   画像を拝借いたしました。
 ⇒ことりのさえずり
   キジバトの鳴き声の音声を拝借しました。
___________________
<書籍>

永瀬清子詩集

永瀬清子
___________________


nice!(3)  コメント(13)  トラックバック(2) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 13

Encuentros

とてもきれいな写真ですね。
空のグラデーションがとても素敵です。
by Encuentros (2005-07-30 19:32) 

tyokyori-sousyano-kodoku

正直、ここの所暑さにやられて、身も心も参っていたのですが、
空気感のある詩と美しい写真で、ちょっと息がふきかえりましたー。
心の栄養ですね。
by tyokyori-sousyano-kodoku (2005-07-31 13:24) 

binten

HINANOさん

コメント&ナイスをありがとう!
HINANOさんは小学校の先生なのですね。
ロゴ画像はビールなのでしょうか?。
(酒飲みのボクはそういう発想しか出来ない)

カメラは安いのを購入したばかりです。
ボクの学生時代はフィルム式のカメラしかなかったのですが
買うのも維持していくのも高くてとても手が出ませんでした。
今はそれなりに安くなってきました。
できれば本格的なカメラを今年中に一式そろえたいなと
もくろんでいます。

今回使わせていただいた画像は国立天文台のものなんです。
by binten (2005-07-31 16:20) 

binten

うかつ者さん

コメント&ナイスをありがとう!
この記事はボクにとっていろんな意味で書いて(といっても詩を
書き写してTBつけただけ・・・)良かったと思いました。
一読するとただ悲しいだけの詩なの?。
と思うのですがボクはその先に何かあると思うのです。

少し息を吹き返されたとの事でなにより。
嬉しいです。
by binten (2005-07-31 16:45) 

Encuentros

ロゴの写真は、タヒチのビールです。
HINANOは、日本で言う「花子」のような名前で、ビールの名前になっています。来世は、HINANOのような魅力的なダンサーになりたいです(笑)
by Encuentros (2005-07-31 18:24) 

binten

HINANOさん

>タヒチのビール
ヒナノビールっていうんですね。
今ちょいと調べたらこのビールのファンって多いんですね。

>来世は、・・・・・
7/9の記事拝読いたしました。
それではボクは来世でココブラつけて魅力的なダンスを踊る
HINANOさんをヒナノビール飲みながら見てる観客、という事
になります。(笑)
タヒチっていいところなんですね。
by binten (2005-07-31 19:28) 

Encuentros

記事を見てくださったのですね。
ありがとうございます。
HINANOビールを飲んでみますか?
このビールのファンは、めちゃくちゃ多いです(笑)
というか・・・HINANOにあこがれる人が多いのかもしれないです。
何気なくつけたHNに重みを感じるこのごろ(汗)

タヒチは・・・なんというかとても熱いものを感じます。
悲しい歴史に負けず一度途絶えていたダンスをよみがえらせていますし、ヘイヴァの祭り(タヒチの祭り)には、感動いたしました。
とはいえ、直接見たことはないのです。職業柄無理でして。
写真だけ、本だけなのですが。
http://homepage2.nifty.com/tahitinavi/
興味がありましたらこちらをご覧くださいね。
by Encuentros (2005-07-31 19:52) 

binten

HINANOさん

>HINANOビールを飲んでみますか?
勿論!。
さきほど外国産ビールも取り扱う酒屋さんに運動を兼ねて
自転車を走らせましたが(好奇心旺盛ですから)既に閉店
でした。(笑)
近いうちに入手して飲んでみます。
旅先で飲んだお酒はココロのタイムカプセルのようですね。
あるいは憧れの象徴とか。

タヒチについてボクはあまりに無知でした。
今までインド洋上の島だと思い込んでいたくらいに。
勉強させていただきます。

お勧めURLで紹介されているKERUMANTUですが、東京在住
時代に職場にも近かった秋葉原駅前で路上ライブされてませ
んでしたか?。(もしご存知だったなら・・・・・)
90年代後半のことです。
夕方喧騒に包まれる時間帯、当時駅前路上ライブで人垣が
出来るなど見たことがなく、演奏を終えると拍手喝采が起こっ
たのを印象深く覚えています。
まるで駅前の喧騒に勝負を挑むようなライブでした。
by binten (2005-07-31 21:30) 

Encuentros

秋葉原?そうですよ(笑)
間違いなくKARUMANTUです。
セサルのケーナは、天才だと思います!!
KERUMANTUをご存知なんてとてもうれしいです。。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))

HINANOビール手に入らなかったら、送りますよ。
でもタヒチから帰ってからになるので、よかったら・・・
http://chez.mana.pf/~hiko/goods.html
こちらでどうぞ★
by Encuentros (2005-08-01 00:00) 

英楽館主

2009年2月6日
 昨日、東京・青山の銕仙会能楽研修所で行われた公開講座で元NHKアナウンサーの山根基世さんが、この詩を朗読されました。ネットで詩を探してたどりついたのがこのサイトです。私のブログでも紹介させていただきます。もしご都合が悪い場合にはお知らせください。
by 英楽館主 (2009-02-06 08:57) 

R.S

永瀬清子という詩人を知ったのはある恋愛小説の中で、此の詩ではないのですが、引用されていたためです。天空歌というらしく一節だけの引用のためどうしても全部読みたくなって検索していたらこちらに出ました。此の「あけがたにくる人よ」を読み改めて此の人の詩が読みたくなりました。    老いた日に思い出される若き日の恋の苦しみ。明け方にくるのは待っていた人が現れず、果たされなかった駆け落ちへの後悔でしょうか? 過去の想いがこうも美しい言葉で表されるから、読み手までそのことを想って苦しくなるのでしょうか。できるなら天空歌もサイトにアップしてくれませんか?
by R.S (2009-05-13 01:28) 

binten

英楽館主さま

コメントありがとうございます。
拙いブログで恥ずかしい思いもありますが
紹介いただきありがとうございます。
感謝感謝です。
by binten (2009-06-25 02:01) 

binten

R.Sさま

コメントありがとうございます。
天空歌ですね。
分かりました。
ご紹介できるよう努力します。
詩集、倉庫の書架から引っ張り出しますので
しばらくお待ちくださいね。

ありがとうございました。
by binten (2009-06-25 02:07) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。